misasa104の旅行記

旅行の日記・備忘録です。

2026/7 ノルウェー⑦ 帰国、そして買ったもの

2026/7/2

いよいよ帰国の日。バスでスタヴァンゲル空港へ向かう。

旅の終わりはいつも少し寂しい。とはいえ、この日は感傷に浸っている余裕もなく、朝から移動する。

空港内にあった壁画が素敵だった。少年のお腹から延びるベルトコンベアの上には、各国を象徴するようなものが次々と描かれている。イギリス、というよりスコットランドの次に現れたのは、、

はい、日本の招き猫。下に置かれた椅子と比べると、どれほど大きな作品かがわかるでしょう?

この壁画は、イタリアのストリートアーティスト、Millo(ミッロ)氏が手掛けたものだそうだ。モノクロを基調とした巨大な街並みの中に、ところどころ鮮やかな色が差し込まれていて、眺めているだけでも楽しい。

搭乗時間になるまでは最後の土産ものをさがし、空港内をうろうろ。時間になりゲートへ向かったものの、肝心の飛行機がなかなか到着しない。

このままでは、コペンハーゲン発の羽田行きに乗り継げないのではないか。などと思っていたら、ギリギリ間に合うくらいの時間になってようやく出発した。

コペンハーゲン行きの機内では、隣に座った40代くらいの男性と少しだけ話をした。彼はスウェーデン人で、1か月働いたら、次の1か月は休むというルーティーンで仕事をしているのだという。

なんだなんだ、その羨ましすぎる仕事は。それってスェーデンではよくあることなのかと聞いたら、笑って「普通じゃないよ」と返された。でしょうね。では、いったい何の仕事をしているのか。聞いてよいものか迷っているうちに、結局聞けないまま終わってしまった。あぁ、聞いておけばよかった。

コペンハーゲンに到着すると、皆で急いで乗り継ぎへ向かった。寸でのところで、全員がなんとか羽田行きの飛行機に搭乗することができた。7月になり、北欧の人たちは夏休みに入ったのか、機内は満席だった。

わたしは、機内で『Michael/マイケル』や『プロジェクト・ヘイル・メアリー』などの映画を観ながら、長いフライトをやり過ごした。

 

そして、ここからは今回の旅で買ってきたもの。

最初に行ったスーパーで買ったノルウェー発のオーラルケアブランド「ジョーダン(Jordan)」の歯ブラシ。女性の横顏とピンクと赤の絵柄がかわいくて一目惚れ。

左にあるのは、曲げたり、伸ばしたり、縮めたりできる水筒。一番小さくすると、パスポートを入れているポーチにも収まる。旅先で荷物を増やしたくないときに便利そうだったのと、日本ではみかけない形状だったので購入した。

ピンクは顏のスキンケア、上は白と水い色はハンドクリーム、その横は日本で常に愛用しているニュートロジーナのハンドクリーム。本場のものも試してみたくて買ってみた。

ノルウェー産のチョコレートとナッツ。

トロルスティーゲン展望台で購入したTシャツ。

登山鉄道フロム駅で衝動買いしたパーカー。背中の大きい「FLÅM」の文字が可愛いでしょう?

写真を撮っていると、わが家のモフモフ君(写真の右)も当然のように登場した。新しくやってきた荷物は、とりあえず自分で確認しなければならないらしい。

こうして買ってきたものを並べてみると、それぞれの品に、買った場所や、そのときに見ていた景色が結びついている。

また北欧へ行きたいな、と思う。唯一の欠点は物価が高いことなんだけれど、これが結構重要だったりする。

それでも、白夜の空、雨上がりの街、どこまでも続くフィヨルド、氷河、滝、そして自分の足で登ったプレーケストーレンの景色を思い返すと、いつかまた戻りたいという気持ちになる。

今度はいつ行けるだろうか・・。

 

(おわり)

2026/7 ノルウェー⑥ 最高かよ、プレーケストーレン

2026/7/1

今日はいよいよプレーケストーレンへ向かう。楽しみでもあり、体力に自信のないわたしにとっては、不安でもあった。

それにしても、これ以上ないくらいの晴天である。今回の旅行でいちばんの天気となった。明日からは雨の予報だというから、なんという幸せ。

プレーケストーレンへ向かう前に、まず「スヴェル・イ・フィエル(岩に刺さった剣)」に立ち寄る。

ハフルスフィヨルドの戦いを記念して造られた、三本の巨大な剣のモニュメント。この戦いは、ノルウェー統一につながる重要な戦いだったとされている。

岩に深く突き刺さった剣には、「この剣が二度と抜かれることはない」という、戦いの終結と平和への願いが込められているのだそう。静かな海を背に立つ三本の剣は、近くで見ると思っていた以上に大きく、力強い。

すぐそばの浜辺では、家族が朝食をとっていた。こんな景色を眺めながら、朝の時間をゆっくり過ごす。なんと贅沢な時間だろう。

再びバスに乗り、プレーケストーレンへ続くハイキングコースの入口に到着した。

登り始めると途中にトイレはないとのこと。ここでしっかりと準備を済ませ、いよいよ出発する。

時刻は10時少し前。寒くも暑くもなく、歩き始めるにはちょうどよい気温だ。青空の下、足取りも自然と軽くなる。

とはいえ、初めから飛ばすわけではない。現地ガイドさんについていき、平らな場所では休憩をとり、水分を補給しながら進んでいく。

コースには、大きな岩を積み重ねたような急な場所もある。一歩ずつ足を置く場所を確かめながら登っていく。

およそ3分の1まで来た。ここからいったん少し下り、その先にコースでいちばんの急斜面が待っているらしい。

いよいよ急な登りに入る。皆、足元を見ながら黙々と登っていく。会話をする余裕もなくなり、自分の呼吸と、石を踏む靴音だけが聞こえる。

振り返ると、この景色。いつの間にか、ずいぶん高いところまで登ってきたのだと実感する。疲れてはいるが、眼下に広がる風景を見ると、また少し元気が出てくる。

ようやく半分を超えた。この先は平地が続くようだ。

途中に小さな湖が現れた。青い空と岩山に囲まれた水辺は涼しげだが、ここまで歩いてきた身体はかなり熱くなっている。半袖のTシャツも汗で濡れてきた。

3分の2を超えた。数字で見ると、頂上がぐっと近づいたように感じる。もう少しだ。

岩の道はまだ続く。足はだんだん重くなってきたが、すれ違う下山中の人たちを見ると、その先に目的地があることだけはわかる。

前方を見ると、空が大きく開けていた。もしかして、あそこか?疲れていたはずなのに、急に気持ちがはやる。

わぁ、見えてきた。岩壁の向こうに、深い青色のリーセフィヨルドが姿を現した。ここから先には柵などなく、切り立った崖のすぐそばを進んでいく。写真では見ていた景色だが、実際に目の前にすると、その大きさも高さもまるで違って感じられる。

ついに到着した。ここまで、およそ2時間。目の前には、言葉を失うほどの光景が広がっていた。

垂直に切り立った岩壁、そのはるか下を流れるフィヨルド、幾重にも重なる山々。こんな場所に自分の足で登ってきたのだと思うと、達成感と嬉しさが一気に込み上げてきた。

希望者は、上の写真の右側に見える岩を登っていく。せっかくここまで来たのだから、わたしも付いて行ってみることにした。

登った先からは、プレーケストーレンの岩の上にいる人たちを見下ろすことができた。広い岩盤も、ここから眺めると、巨大な山から突き出した一枚の板のようにも見える。

青空で、光がまぶしい。フィヨルドの水面も鮮やかな青色に輝いている。これほどの晴天に恵まれたことが、ただただ嬉しい。

岩の上に座り、ホテルが用意してくれたランチボックスを開く。パンにたっぷりマヨネーズを塗ってハムとチーズを挟み、サンドイッチにして食べた。リンゴやスナックも入っていたが、景色と達成感だけで胸がいっぱいになり、それ以上はもう、手が伸びなかった。

普段は自分の写真をほとんど撮らないが、ここでは添乗員さんに撮ってもらった。

崖の端でジャンプしている人ではなく、その横で後ろを向き、両手を広げているのがわたし。そんなギリギリの端までは怖くて行けないのだ。

こうして、「最高かよ」と言いたくなるような青空のもと、念願だったプレーケストーレンの絶景を心ゆくまで楽しんだ。

 

ところで、、この場所が『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』のロケに使われたことを知った。シリーズは全作観ているはずなのに、どの場面だったのか思い出せない。

そこで、帰国してから改めて観てみた。あぁ、ヘンリー・カヴィルが CIAのエージェントとして出演していた、あの作品か。終盤、カシミールという設定で、イーサン・ハントとヘンリー・カヴィル演じるウォーカーが崖の上で戦う場面が、ここプレーケストーレンで撮影されていた。

いやはや、一体どうやって撮影したのだろう。映画だとわかっていても、怖すぎる。ちなみに、わたしは次のジェームズ・ボンド役にヘンリー・カヴィルを推す派なのだが、どうなるだろうか。

名残惜しいが、そろそろ下山する時間となった。今度は皆でゆっくりと来た道を下っていく。

無事に下山したあとは、全員が揃うまで、先に降りてきた人たちとアイスクリームを食べて待った。疲れた身体に冷たさと甘さが染み渡る。登山のあとのアイスクリームは、格別だった。

バスに乗り、ホテルへ戻る。夕食までは自由時間だ。

足は疲れていた。登るときよりもむしろ下山時に体重がかかる足先が痛い。ちゃんとした登山シューズを持ってこなかったことを遅まきながら後悔した。

シャワーを浴びて、部屋でのんびりすることも考えたが、やはり街の様子も観てみたいと思う気持ちのほうが勝り、ひとりで散歩に出ることにした。

ホテルの前の道路には信号がなかった。反対側へ渡りたいのだが、車が途切れず、なかなか渡ることができない。困っていると、通りがかった自転車の男性が、わざわざ自転車を道路に対して横向きに止め、車を制して、わたしを渡らせてくれた。なんと親切な。お礼をいい、頭を下げながら道を渡った。

まずは中心部にある公園へ。明るい日差しの中、芝生や木々の緑が鮮やかだ。プレーケストーレンの荒々しい岩山から戻ってきたばかりなので、整えられた街の緑がどこか新鮮に感じられる。

港のほうへ進むと、たくさんのテントが並び、大勢の観光客で賑わっていた。

わたしの中では、スタヴァンゲルはプレーケストーレンへ向かうための拠点というイメージしか持っていなかったのだが、歩いてみると、それとは関係なく、多くの人が訪れる港町なのだと実感する。

「ファルゲガータ」、英語でカラーストリートと呼ばれる小さな通りにやってきた。建物はピンクや水色、黄色など鮮やかな色に塗られ、通りそのものが明るく華やかだ。

カフェやバーが軒を連ね、店先のテーブルには多くの人が座っていた。ここもたくさんの観光客で賑わっている。

雑貨を扱う店もあり、立ち寄ってみた。店内に並んでいるものもセンスがよく、かわいらしい。色鮮やかな通りを眺めながら歩いているだけでも楽しい。

続いて、ガムレ・スタヴァンゲルと呼ばれる旧市街へ向かう。ここには、18世紀から19世紀に建てられた、小さな白い木造家屋がまとまって残されている。

先ほどまでの賑やかな港やカラーストリートから一転し、こちらはひっそりと静かな住宅街だ。

人が実際に暮らしている家の間を歩いているため、勝手にお邪魔してよいのだろうかという気持ちにもなる。しかし、わたし以外にもカメラを手にした観光客が何人も歩いていたので、やはり街の観光名所なのだろう。

そして、ここでモフモフ君に出会った。

やはり寒い国では、このくらいモフモフしていないとね、などと思いながら近づいていくと、猫のほうからもこちらへ歩いてきた。ふさふさした毛並みと、吸い込まれそうな青い目が美しい。

ひとつひとつの家は素朴だが、白い木造家屋が連なる街並みは、統一感があって美しい。白い壁、オレンジの屋根、水色の窓が、まるで絵本みたいだ。

人々の暮らしを感じさせながら、昔の港町の面影も残しているようにもみえた。

白い壁に色鮮やかな花がよく映える。観光客が訪れる地区ということもあるのだろうが、どの家も庭先や窓辺まできれいに手入れされていた。

気がつけば、そろそろ18時。ノルウェーの旗に見送られながら、ホテルへ戻ることにした。

朝からプレーケストーレンに登り、下山後にはスタヴァンゲルの街まで歩いた。足はもう十分すぎるほど疲れていたが、晴天のもとで念願の絶景を見ることができ、街の散策まで楽しめた、忘れられない一日となった。

(つづく)

2026/6 ノルウェー⑤ 雨上がりの港町から、滝の道へ

2026/6/30

明日はいよいよプレーケストーレンへ向かう。そのため本日は、ベルゲンからスタヴァンゲルへの移動日となる。

朝8時からベルゲンの街を散策する。ホテルを出た途端、ぽつぽつと雨が降り始めた。ところが、わたしはうっかり傘をホテルに置いてきてしまった。取りに戻る時間もない。これはもう、濡れるしかないとあきらめて歩き出す。

ところが、港に着く頃には、雨は次第に弱くなり、やがて上がってくれた。ありがたい。

朝が早いため、港を歩く人はまだ少ない。昼間は観光客で賑わうベルゲンも、この時間はひっそりとしていて、街を独り占めしているような気分になる。

港のすぐ向かい側に、昨日バスの車窓からも見えた、カラフルな木造建築が並んでいる。ベルゲンを代表する世界遺産、ブリッゲン地区だ。

港に面して建つ色とりどりの建物は、かつてハンザ同盟の商人たちが、事務所や倉庫として使用していたものだという。正面から眺めると一枚の絵のようだが、近づいてみると、長い年月を重ねてきた木造建築ならではの傾きや歪みも感じられる。

建物の奥へ入っていくと、細い通路が延び、その両側にも木造の建物がびっしりと並んでいた。港側から見ているだけではわからなかった、奥行きのある不思議な空間だ。

板張りの通路や階段を歩いていると、華やかな港の表通りから、突然、何百年も前のベルゲンに迷い込んだような気持ちになる。

現在、古い木造建築の中に、小さな工房やショップ、ギャラリーなどが入っている。ここは、ポストカードやイラスト作品を扱う店のようだった。朝早いため、まだどの店も開いていない。

別の店の窓辺にも、素朴でかわいらしいカードが並んでいた。開いていたら、ぜひ中に入ってみたかった。静かなブリッゲンを歩けたのはよかったけれど、少し早すぎたようだ。

その後、10時までは自由時間となった。わたしはひとりで、中心部から少し離れたローカルなショッピングモールへ行ってみることにした。

スマホのマップを見ながら歩く。集合時間に遅れては大変なので、自ずと速足になる。雨はすっかり上がり、歩いているうちに暑くなってきた。結果的には、傘も上着もなくてちょうどよかった。

モールでは、地元の人たちに混じって店内を散策した。観光地とは違う、ごく普通のベルゲンの日常を少しだけのぞけたようで楽しい。化粧品売り場では、ノルウェーで見つけたかったスキンケア商品も無事に購入できた。

買い物を終え、時計を見る。さあ、そろそろ戻らないと。来た道を再び速足で集合場所へと戻った。集合時間には全員が揃い、バスに乗車。ベルゲンを後にして、スタヴァンゲルへ向けて出発する。

車窓の景色は、相も変わらず美しい。山と水辺の間に小さな町や家々が現れては、また緑の中へ消えていく。移動時間が長くても、窓の外を眺めているだけで飽きることがない。

途中、スタインダール滝に立ち寄り、しばらく観光する。落差はおよそ50メートル。豊かな緑の中を、白い水が勢いよく流れ落ちていた。

写真を見ると、滝の後ろ側に遊歩道があるのがわかるだろうか。この滝では、流れ落ちる水の裏側を歩けるようになっている。

遊歩道に入ると、目の前に水のカーテンが現れた。轟々という音に包まれながら、滝越しに外の景色を眺める。正面から見るのとはまったく違う、少し不思議な眺めだった。

すぐ目の前を大量の水が流れ落ちているのに、岩の張り出しのおかげで、遊歩道ではほとんど濡れずに歩くことができる。

遊歩道から見渡す風景。滝だけでなく、その向こうに広がる山や谷の眺めも美しい。

そろそろランチの時間となり、再びバスに乗ってレストランへ向かう。

到着したのは、フィヨルドのほとりに建つ大きなレストラン。大きな窓から水辺を眺められる、開放感のある場所だった。

ここで食べたチキンが、驚くほどやわらかくておいしかった。ナイフを入れると、ほろりとほどけるほど。ほかの参加者からも「おいしい」という声が聞こえてきたので、皆の評価も高かったのだと思う。

レストラン前の桟橋から撮った写真。水面は穏やかで、向こう岸の山々が淡い色に重なっている。いつまでも眺めていたくなる景色だった。

昼食後、再びバスに乗り込む。次に停まったのは、ローテフォッセン。日本語ではローテ滝とも呼ばれている。

山の高いところから水が流れ落ちている。落差は約165メートル。滝の全体を一枚の写真に収めるのが難しいほど、縦に長く、迫力のある滝だ。

滝の水は道路脇まで勢いよく流れ落ち、古い石造りの橋の下を通って、その先の川へと流れていく。道路のすぐそばにこれほど大きな滝があることにも驚かされる。

今いる場所は、上の図の矢印のところ。ベルゲンからスタヴァンゲルまで、海岸沿いをそのまま南下するのではなく、フィヨルドと山々の間を縫うように進んでいる。

バスはさらに南へ。途中でフェリーに乗ったり、長いトンネルを抜けたりしながら、ようやくスタヴァンゲルへ近づいていく。

ホテルに到着し、チェックイン。ここには2連泊する。毎日荷物をまとめなくてよいと思うだけで、少しほっとする。

部屋に入り、窓の外を眺める。明日はいよいよ、この旅で楽しみにしていたプレーケストーレンに登る。

天気予報は晴れ。どうか、このまま変わりませんように。

(つづく)

2026/6 ノルウェー④ 水と山をつないで、ベルゲンへ

2026/6/29

朝は早めにホテルを出発し、バスでグドヴァンゲンへ向かう。本日は、フィヨルドクルーズのあとに山岳鉄道にも乗るという、旅程を見たときから楽しみにしていた一日だ。

グドヴァンゲンは、世界遺産ネーロイ・フィヨルドの最奥に位置するノルウェーの小さな村。ここから船に乗り、フロムへ向かう。下の地図の点線部分が、今回のクルーズのルートになる。

乗船まで少し時間があったので、周辺を散策する。近くには、村へと続く木製の橋が架かっていた。

村の様子。静かな水面には、建物だけでなく、その背後にそびえる山々までくっきりと映り込んでいる。船に乗る前から、すでに絵葉書のような景色が広がっていた。この景色のおかげで、待ち時間さえも楽しいものになった。

いよいよ出航。わたしは今回もほとんど船内には入らず、ずっと甲板で景色を眺めていた。風は冷たかったけれど、次々と現れる景色を見ていたくて。

フィヨルドのほとりには、小さな村や集落が点在している。切り立った山と水に囲まれ、道路では簡単に行き来できないような場所もあるという。住人がわずか3人という集落もあるそうだ。こんな静かな場所では、どのような暮らしが営まれているのだろう。

船が途中で立ち寄った小さな港。降りる人がいるときだけ寄港するそうだ。観光船であると同時に、ここで暮らす人々の生活を支える交通手段でもあるのだろう。

こちらは、先ほどより少し大きな集落のようだ。山の斜面に寄り添うように家々が並び、その前を船が静かに進んでいく。

約1時間半のクルーズは、景色を追いかけているうちにあっという間に終わった。名残惜しい気持ちで船を降りる。

到着したのは、人口約500人の小さな村フロム(Flåm)。世界屈指の絶景路線として知られる「フロム鉄道」の始発駅があり、フィヨルドクルーズの拠点にもなっている。

小さな村とは思えないほど、船と列車を乗り継ぐ観光客で賑わっていた。静かなフィヨルドから、急に観光地らしい活気の中へ戻ってきたように感じる。

まずは、近くのホテルのレストランでランチをいただく。

食事を終えて駅のほうへ戻り、何人かで土産物屋を端からまわっていると、これから乗る列車がホームに入ってきた。いよいよ、楽しみにしていたフロム鉄道に乗車する。

列車内の様子。車内は木目を生かした落ち着いた造りで、どこか昔ながらの山岳鉄道らしい雰囲気がある。座席はツアーごとに決められていたようだった。

車窓から見えた二人のサイクリスト。こちらの列車の写真を撮っているようだったので、わたしも撮らせてもらった。そちらからは列車の全体が見えたでしょうね。

途中、対向列車との待ち合わせで少し停車した。列車の後方まで入れようと頑張って撮影したものの、写ったのはほんの少しだけ。それでも、山あいを走る列車の雰囲気は伝わるでしょうか。

途中にあるショース滝では、列車が約5分間停車する。乗客は一斉に列車を降り、轟音を響かせながら流れ落ちる滝に向かって、さっそく撮影を始めていた。

突然、音楽がかかり、妖精が登場。

写真の右上に、赤いドレスを着た妖精がいるでしょう?音楽に合わせて踊っている。先ほどまで上のほうにいたかと思えば、次の瞬間には滝のすぐ横に姿を現す。

妖精が滝の横に現れたとき、拡大して撮ってみた。ほんの数分だったけれど、霧と水しぶきに包まれた滝に赤いドレスが映えて、観光客を楽しませる演出だった。

フロム鉄道の終点、ミュールダール駅に到着。ここでベルゲン鉄道に乗り換える。

少し雨が降ってきたこともあり、景色は薄い霧に包まれ、どこか幻想的な雰囲気になってきた。

ベルゲン鉄道に約1時間乗車し、ヴォスに到着した。

車内は明るく清潔で、トイレも備えられている。観光列車らしいフロム鉄道とはまた違う、快適な長距離列車だった。

ヴォス駅の様子。

駅のすぐそばには湖があり、全員が集合するまで、この景色を眺めながら待つことになった。グドヴァンゲンでの乗船前といい、今日は待ち時間にまで美しい景色が用意されている。

ここから再びバスに乗り、ベルゲンへ向かう。

ベルゲンに近づくと、車窓から街のアイコン的な建物が見えてきた。人の姿や車も増え、静かなフィヨルド沿いの村々から、再び大きな街へ入ってきたことがわかる。天気もよく、街は観光客で賑わっていた。

ホテルにチェックインし、少し休憩する。

夕食会場は別のホテルのレストランということで、徒歩で出かける。

街の通りの先には、山肌を駆け上がるように住宅が連なっている。

暑くも寒くもなく、ちょうどいい。

重厚感のある、きれいなホテルだった。ここで夕食をいただいたあとは、希望者のみでフロイエン山の展望台へ向かう。もちろん行く。

山頂まで歩いて登ることもできるが、わたしたちはケーブルカーに乗ることにした。街の中心部から山頂まで、わずか5分ほどで到着する。

展望台からは、ベルゲンの街並みと港、その向こうへ続くフィヨルドを一望できた。時間はすでに20時半頃。それでも空はまだ明るく、街全体が柔らかな光に包まれている。

朝は静かなフィヨルドを船で進み、午後は山岳鉄道で山を越え、夜にはベルゲンの街を山の上から見下ろした。振り返ってみると、この一日だけで、ノルウェーのさまざまな表情を一度に見せてもらったような気がする。

帰りはそれぞれのペースで、明るい夜の街を歩きながらホテルへ戻った。

(つづく)

 

2026/6 ノルウェー③ フィヨルドを渡り、氷河の谷へ

2026/6/28

朝食を済ませ、ホテル目の前にあるフィヨルドのクルーズに向かう。

フェリーに乗り込むと、船内は広く、明るく開放的だった。さっそく甲板に出て、後方を振り返る。

さようなら、ゲイランゲルの町。切り立った山々の谷間にできた、この小さな観光地のことを忘れないでいよう。

今度は船の前方へ移動する。水面にはほとんど波がなく、船が揺れないのがうれしい。

帰国してから気づいたのだけれど、このとき、船や船内の写真を一枚も撮っていなかった。ほとんど船内にいなかったからか。

わたしはほとんどの時間を外の甲板で過ごし、見たい景色に合わせて船の前や左右を行き来していた。そこにツアーの参加者がいればおしゃべりを楽しみ、一人のときは、ただじっと流れていく景色を眺めていた。

甲板の上は風が強く、体感温度がぐっと下がる。持っていくか迷った末に荷物に入れたオムニヒートのパンツが、ここで大いに役立った。このパンツのおかげで、長いあいだ甲板に出ていても快適に過ごすことができた。

左がセブン・シスターズの滝、右がブライダルベールの滝。確かに、風に揺れる花嫁のベールのように見える。世界中には「ベール」と名のつく滝が、たくさんありそうだけれど(笑)。

約1時間のクルーズを終え、ヘルシルトの町に到着した。ここもまた、かわいらしい町だった。目の前に美しいフィヨルドが広がる暮らしとは、どのようなものなのだろう。

 

このあとは、ヨーロッパ大陸最大の氷河であるヨステダール氷河から分岐した、ブリクスダール氷河を見に行く。

次第に天気がよくなり、車窓を流れる景色がまぶしい。湖畔には、キャンピングカーが何台も停まっていた。

ほどなくして、氷河のつくった谷が広がるオルデダーレンに到着。

ここからは電動カートに分乗し、現在も残る氷河の近くまで向かう。

途中の橋を渡ると、すぐ横を流れる滝から、容赦なく水しぶきが降りかかってくる。座席の前に用意されたブルーシートをかぶらなければ、びしょ濡れになってしまいそうだった。

カートを使わず、歩いて登っている観光客も見かけた。時間があれば、ゆっくり歩くのも気持ちがよさそう。

やがて、山の上にブリクスダール氷河が見えてきた。

カートを降り、少し歩いていく。

すると突然、視界が大きく開け、湖のほとりに出た。そして湖の向こう、すぐそこに氷河があった。手が届きそう、とまでは言わないけれど、想像していたよりもずっと近い。山の奥にあるものだと思っていた氷河が、目の前に姿を現したことに驚いた。

地球温暖化や気候変動の影響で、氷河は近年、後退を続けているという。あと何年、この景色を見ることができるのだろうか。そして氷河を見上げながら、その上はどうなっているのだろうかとも思った。山の向こう側には、さぞ一面の雪と氷の世界が広がっているのだろうと想像をしてみた。

 

日本に戻ってから、このオルデダーレンを舞台にしたドキュメンタリー映画『ソング・オブ・アース』をU-NEXTで観た。

美しくも厳しい自然のなかで暮らしてきた年老いた両親を、娘である映画監督が撮影したものだ。劇中には、まさにこの氷河をドローンで捉えた映像も登場する。春夏秋冬を通して、谷の風景を見れたのがよかった。

www.transformer.co.jp

名残惜しくも、皆でまたカートに乗り、来た道を戻る。

滝のすぐそばに架けられた橋の上にちょうどは虹がでていた。

さて、入口まで戻ってきた。

ちょうど、12時頃。レストランで昼食となった。

自分で買ったビール缶の写真を撮ろうとしていると、となりの人が「これもどうぞ」と瓶を並べてくれた。瓶のラベルには氷河の写真が使われ、缶のほうは氷河の名を冠した「BRIKSDAL PALE ALE」。どちらもここで飲むのにぴったりでしょう?

食事を終える頃には、少し雨が降り始めた。午前中はあんなに晴れていたのに。やはり、ノルウェー西海岸の天気は変わりやすい。

帰りの途中、カウパンゲル・スターヴ教会に立ち寄った。

1140年頃に建てられたとされる、ノルウェーの伝統的な木造教会で、現在も教会として使われているそうだ。周囲には墓地が広がっていて、どの墓にもちいさな花が供えられていた。

教会から見えた風景。

旅が進むにつれて、連絡船に乗ることにも慣れてきた。トイレ休憩をしたり、参加者同士でおしゃべりをしたりするのに、ちょうどよい時間になった。

やがて、この日の宿に到着した。部屋の窓からは、歴史保存地区の古い家並みが見えた。

部屋で少し休んでから、夕食をいただく。

厚みのあるサーモンに、シンプルなソースがよく合い、おいしくいただいた。

夕食のあとは、恒例の散歩に出かける。ホテルの目の前にスーパーがあったのだけれど、この日は日曜日だったため、残念ながら閉まっていた。

宿の近くには、18~19世紀の木造建築が残るガムレ・レールダールスオイリの保存地区がある。かつてここは、フィヨルドを船で運ばれてきた品々が陸路へと引き継がれる、東西交通の要衝だった。

静かな水面には古い家並みが鏡のように映っている。かつて多くの人や品物が行き交っていたとは思えないほど、町には穏やかな時間が流れていた。

(つづく)

 

2026/7 夏の奈良 町家の宿と法隆寺

2026/7/18(土)

3連休を利用し、久しぶりに奈良に住む息子を訪ねた。彼は泊まっていけばいいと言ってくれたが、ホテルをとったので、いっしょに行かない?と誘った。

近鉄奈良駅まで出て、そこから歩くこと10分ほど。

京都ほどではないものの、奈良の街も多くの人で賑わっていた。

商店街を進む。道の両側には、おいしそうな飲食店が軒を連ねている。

この日泊まるのは、明治創業の蔵元「奈良豊澤酒造」の旧邸宅を改修した、全8室のホテル「風の ならまち」。表に大きな看板がないため少し迷ったが、のれんに描かれた「H」が目印だったのか。いや、これはブランドシンボルの「風構え(かぜがまえ)」らしい。

風の ならまち(旧NIPPONIA HOTEL 奈良 ならまち) - お酒と古都の魅力に、心まで酔いしれる。

建物の脇の細い通路を進むと、突き当たりにフロントがあった。

わたしたちが泊まったのはメゾネットタイプの部屋で、外から鍵を開けて入ると、まず広い畳の間があり、その奥に階段が続いていた。

箱階段を上がった先には、隠れ家のような部屋があった。

天井が低いところにも、昔ながらの建物らしさが感じられる。

窓の格子がわずかに傾いているのも、長い年月を経た建物ならではだろうか。アメニティも充実していて、部屋にはアロマまで用意されていたので、さっそく使わせてもらった。

水回りはきれいに改修され、すべて新しくなっていた。

夕食まではまだ時間があったので、近所を散歩することにした。

昔ながらの町家が残るならまちは、目的もなく歩くだけでも楽しい。

特に行き先を決めず、ふらふらと歩いていると、通りの向こうに池が見えた。そちらへ進みながら、ふと思い出す。前回奈良を訪れたときにも、ここを歩いたことがある。

「なんだか見覚えがある」と話していると、その先に、前回も立ち寄った中川政七商店が見えてきた。もちろん、今回も入る。

センスいいもの、かわいいものがいっぱい。以前に買ったふきんがだいぶくたびれてきていたので、新しい花ふきんを購入した。

帰り道では、かなり立派な角を持つ鹿に遭遇。刺激しないように、横をそろりそろりと通り過ぎた。

夕食は、ホテル内のレストラン「LE UN(ルアン)」でフレンチのフルコースをいただく。

料理には旬の食材や奈良の食材が使われ、見た目にも美しい皿が次々と運ばれてきた。ひと皿ごとに工夫が凝らされていて、味わいも良い意味で複雑。フレンチに日本酒という組み合わせも、思っていた以上によく合った。

料理ごとに勧めてもらった日本酒を、息子は顔を真っ赤にしながらも「おいしい」と飲んでいた。以下、写真は一部だけ。

最後はアートみたいなデザートをいただき、お腹がいっぱいに。

古い建物なので、階下や表通りの音が聞こえることもあると事前に案内されていたが、わたしたちはまったく気にならず、朝までぐっすりと休んだ。

 


2026/7/19(日)

朝食は、身体にやさしい茶粥と酒粕汁を中心とした和食。ごはんと汁物はお代わり自由で、わたしたち二人はごはんをお代わりした。

今回は特に観光先を決めずに来たのだが、息子が「法隆寺に行かない?」と言う。それでは行ってみようかと、朝食後に向かうことにした。

JR奈良駅まで歩き、列車で法隆寺駅へ。思っていたより近い、と喜んだのもつかの間、駅から法隆寺までは徒歩で20分ほどかかるという。

この日は、朝から雲ひとつない晴天。風もほとんどなく、外へ出ると容赦なく日差しが照りつけていた。駅前にはちょうどよいバスもなく、タクシー乗り場には列ができている。しばらく待ってみたものの、肝心のタクシーがなかなか来ない。

とうとう諦めて、炎天下の道を歩くことにした。だからこそ、遠くに法隆寺の門が見えたときは、本当にうれしかった。

門をくぐり、その先に五重塔が見えてくると、暑さでしぼんでいた気力が急に戻ってきた。

修学旅行で訪れたことがある人も多いだろう。左が五重塔、右が金堂。中央奥に見えるのは大講堂で、僧侶たちが仏教の学問を学ぶための場所として建てられたそうだ。

聖徳太子の尊像を祀る聖霊院(しょうりょういん)。

八角形の建物が印象的な夢殿(ゆめどの)。内部には、聖徳太子の等身像と伝えられる救世観音像(くぜかんのんぞう)をはじめ、数々の仏像が安置されている。

建物の向こうには、わずかに山並みも見えた。その上には小さい雲が行列をつくっているようだった。

法隆寺まで来てよかった。そう思う一方で、ここからまた炎天下を20分歩いて駅まで戻るのはつらい。幸い、今度はGOでタクシーを呼ぶことができ、近くの大通りから法隆寺駅まで乗せてもらった。

列車でJR奈良駅まで戻り、そこから再びタクシーでならまちへ。冷たいビールでようやく生き返り、牛カツを食べてから、奈良をあとにした。

 

長男と二人で旅行をする機会も、これからは少なくなるかもしれない。暑さには参ったけれど、ゆっくり話をする時間も持てて、よい奈良行きになった。

 

2026/6 ノルウェー② オーレスンの朝、そしてトロールの道を越えて

2026/6/27

時差ぼけで、4時前に目が覚めてしまった。ポットで湯を沸かし、インスタントコーヒーを入れる。遮光カーテンを開けて窓の外を見ると、雨は止んでいる。アクスラ展望台に、もう一度行ってみようか。宿泊しているホテルのすぐ裏が、公園の入り口なのだ。

コーヒーを飲みながら、しばらく窓の外を眺めていた。そして5時頃ホテルを出た。

途中の階段でモフモフを見つけ、恐るおそる近寄ってみる。

うさぎ?いや、ネコだ。「顔を見せて」と近づこうものなら、足元にまとわりついてくる。人慣れしているのね。ノルウェージャンかしら。

写真の右上のほうに、人が写っているでしょう?このときは軽く挨拶をしただけだったのだけれど、散歩を終えてホテルに戻ると、彼が入り口付近を掃除していた。そうか、ホテルのスタッフだったのか……。もしかしたら、ここは彼の定番の散歩コースなのでは?などと勝手な想像をして、羨ましくなった。

朝は頂上までは行かず、途中の階段から写真を撮った。5時半ごろの眺望だ。昨晩とは違い、遠くの山までくっきりと見える。思わず、ひとりでガッツポーズ。

帰りにモフモフを探したけれど、もう姿はなかった。朝食まではまだ時間があるので、近所も散歩してみよう。

港のほうへ行ってみる。涼しくて気持ちがいい。

誰もいない。いるのは、わたしと新聞配達の彼だけ(笑)。

目を引いた土産物店のショーウィンドウ。クリスマス仕様なのだろうか。ここのトロールはかわいい。開いていたら、ぜひ入ってみたかったな。

朝食のあとは、全員で街歩きに出かける。わたしは今日2回目なんだけどね、と心の中でつぶやく。

港の周囲に遊歩道があり、そこをのんびりと進んだ。

展望台からも見えていた、かわいらしい建物。水面には建物がくっきりと映り込み、見事な水鏡になっていた。

ホテルへ戻る途中、建物の向こうに、昨晩と今朝登ったアクスラ山の階段が見えた。日中は混雑するほど人気なのだそうだ。

ホテルからバスに乗り、ゲイランゲルへ向かう。わずかな滞在だったけれど、雨の夜と晴れた朝、二つの表情を見ることができた。もう少し遠くも歩いてみたかったな、などどと思いながら、オーレスンをあとにした。

急峻な山肌に、11のヘアピンカーブが連続するつづら折りの道路「トロールスティーゲン」を走る。次々と景色が変わり、滝も多い。日光のいろは坂では車酔いしてしまうわたしだが、ここでは大丈夫だった。直線が長いからか?

トロールスティーゲン展望台に到着して外へ出ると、まあまあ寒い。ライトダウンを着込み、まずは施設内のレストランでランチをいただく。

ミートボールには、コケモモのジャムがよく合う。ビールは隣の人が飲んでいたものを撮らせてもらった。缶のシロクマのデザインがかわいらしくて。

この日は土曜日だったからか、それとも、もう夏休みに入っていたのか、高校生くらいの男子が料理を運んでくれた。彼らが着ていたパーカーを、あとで買おうと目をつけておく。

食事を終え、何人かで展望台へ向かった。

歩道がきちんと整備されているので、迷う心配はない。

展望台から見下ろすのは、先ほどバスで通ってきた「トロールの梯子」。

バスの中では、目の前に現れるカーブを一つずつ追うだけで精いっぱいだったが、展望台に立つと、さっきまでの道のりが一枚の地図のように眼下に広がっていた。自分もあの小さな車の一台に乗っていたのだ。

 

集合時間ぎりぎりに、ランチのときに目をつけていたパーカーと同じデザインのTシャツを購入。自由時間を最大限に満喫して、バスへ戻った。

続いて到着したのは、グードブランツユーヴェ展望台。

轟音を立てて流れる激流。間近で見ると、少し怖い。

この時期は、特に水量が多いのだろうか。

ルピナスもちょうど花を咲かせていた。

添乗員さんが「ここのシナモンロールはおいしい」と太鼓判を押す。それならば、どれどれと、一番小さいもの(左)を買ってみた。

ところが、わたしが選んだのはシナモンロールではなく、クルミとアーモンドのパンだったようだ。サクッとザクッの中間くらいの食感で、これはこれでおいしかった。値段は日本円で500円くらい。

次に立ち寄ったのは、オルネスビンゲン展望台。

ちょうどこのとき、雨が激しく降っていた。美しいゲイランゲル・フィヨルドを一望できる場所だが、写真のとおり、景色は少し霞んでしまった。

最後に立ち寄ったのは、フリーダールスユーヴェ展望台。

入り江の奥に、港や建物が見える。白い建物は、今夜宿泊するホテルだ。

崖の上に人がいるでしょう?わたしもそこへ行ってみた。一応、柵のようなものはあるのだが、これがなんとも心もとない。

そのときは、まさか自分がこんな崖のぎりぎりに立っているとは思っていなかった。あとから全景を知り、遅まきながら怯えた。やはり、わたしは高所恐怖症なのではないかと思う。

崖の上から、下をのぞき込んで撮った写真。

 

展望台から小さく見えていた港へ、バスは少しずつ高度を下げていく。山とフィヨルドに囲まれたゲイランゲルは、まるで景色の底に降り立つような場所だった。

ホテルに到着し、チェックイン。

どのホテルも洗練されていて、居心地がいい。部屋は1階のように見えるけれど、確か6階だったと思う。

夕食までは少し時間がある。ほかの参加者と3人で、滝のハイキングコースへ行ってみることになった。

ここも遊歩道がきちんと整備されている。かなり階段を上ってきたが、ハイキングコースはこの先もずっと続いているようだった。そろそろ夕食の時間なので、わたしたちはホテルへ戻ることにした。

夕食は、フィヨルドを眺められるホテル内のレストランでいただく。

地元のピルスナーを注文。すっきりとした味わいで飲みやすい。そして、何より気に入ったのが、この瓶の絵だ。写真を撮っていると、隣の人も「わたしにも撮らせて」と。

夕食を終えても、外はまだ昼間のように明るい。また数人で散歩に出かけ、近所の土産物店を端から見て回った。あれでもない、これでもないと言いながら、買わなくても楽しい。

時計を見れば、もう一日を終えてもいい時間なのに、外はいつまでも旅の続きを誘うように明るい。あまり寝ていないのに、われながら元気だ。時差ぼけのせいもあるけれど、それ以上に、楽しくて寝てなんかいられないというか、、、、まぁそんな感じなのだ。

(つづく)